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ゴールデンウィークを使った旅行で出雲大社の本殿を拝観したときの簡単なレポです。
老朽化した建物を改修する「御修造」を約60年ぶりに行うため、祭神は拝殿内の仮殿へ一時的に遷っています。そのご留守を利用して私たちも普段は立ち入ることのできない場所を拝むことができた、というわけです。
これから五年間は拝殿が仮の本殿ということになります。

右手に回り込むと、本殿拝観の列と、記帳受付の白いテントが見えます。
列の最後には係員さん(警備員)が、最後尾であることがわかるように、プラカードを持って立っています。この係員さんが、服装のチェックをしてくれました。ドレスコードがあって、ジャージやジーンズはダメなのです。
私の前に並ぼうとしたかたは、ご夫婦でいらしていたんですが、奥さんのほうがデニム生地のズボンを穿いていてアウト。旦那さんも「じゃあ俺もいいや…」と去っていかれました。もったいない。ここは妻に優しさを見せるところじゃなくて、待たせてでも拝観すべきところですよね。え、違います?

私の格好は。
・色の薄いジャケット
いい天気だったんで、ちょっと暑かったですね。日中はこのときしか着てませんでした。
・襟のある白いシャツ
ワイシャツではなく、少しやわらかい感じのもの。ネクタイはしませんでした。
・紺色のスラックス
ちゃんとアイロンかけて行きました。
・灰色の靴
合成皮っぽいやわらかい素材のもの。よく旅行用として売ってるものです。

そんな姿でOKでした。
もう少しラフな感じの人も大丈夫でしたね。逆に、きっちりとスーツにネクタイ、というかたもちらほらといました。
それと、帽子をかぶったまま八足門の内側に入るのはNGのようでした。すぐ近くで並んでいた兄ちゃんや、中年の女性でかぶったままの人は注意を受けていたんで。

並んで待つ時間は、およそ十分ほどでした。28日は平日だったんで、前日(日曜日)や翌日(昭和の日で祝日)と比べると、空いているほうだったのかもしれません。時間帯によっても、混んでる時間とそうでない時間がありそうですね。

靴は自分のものは持ったまま通ります。が、それを入れるための袋は貸してもらえます。

大社教の信者のかたでも普段はここまで、という楼門を通り、仮設通路、本殿の階段を登ります。
いつもは垣の外から見るしかない摂社たちも、見おろす位置から良く見ることが出来ます。御向社に天前社、筑紫社です。
本殿のある地面と、これら摂社のある地面、玉垣の内と外ですが、敷いてある石の大きさが違います。内側(本殿側)の石はすごく大きいです。川原石だと思うんですが、子供の頭くらいあるんじゃないでしょうか。すでに玉砂利ってレベルではないです。
一種の荒々しさすら感じます。

階段を登りきると、神殿の入り口である御扉の正面です。公開時は開け放ってるんで、扉は無いんですが。
柱を避ける位置にあるので、右側が扉。
開け放ってるのは扉だけじゃなくて、その左側の蔀もです。

と、ここで残念なお知らせ…
扉の位置から奥へは、入れません

てっきり下段までは行けるのかと思ってましたよ!
で、下の図のように、縁の部分を右手からぐるりと回ります。
見上げると、横に組んである柱の上には、剣山の親玉みたいな金属製のトゲトゲがいっぱい置いてありますね。
鳥が留まって、糞をしたりするのを防ぐためのもののようです。

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外側の壁や柱は、結構傷んでました。雨風を直接受けるんですから、当然ではありますけど…
とくに欄干の傷みは相当なものです。
柱や欄干に装飾してある金具は、すべて植物をモチーフにした飾りが彫ってありました。

ぐるりと回って、★の位置まで来ると、神職のかたがいらっしゃって、解説を受けることが出来ます。蔀の前あたりに詰めて座ってお話を聞きます。

ところで、主祭神の大国主神は、扉や私達が普段参拝する拝殿のある南を向いていないことがよく知られています。
国譲り神話に登場する稲佐浜の方角、西を向いているんですね。
どうして横を向いてしまっているのかについては、諸説あるようですが、結局は社殿の中央に神座を置いて南を向けると、柱が邪魔になるということなんでしょう。
扉の正面には仕切りの板壁があります。

で、だいたいこの★の位置からだと、柱や仕切り壁に隠れている「御神座」が少し見えるんです。
ずばり、「神社」がありました。
神社の中に神社があるんです。
よく、一般的な神社でも、本殿を保護するために、鞘殿とか覆屋とかいわれるものが造られますよね。あれをイメージしてしまいました。
もっとも、出雲大社の場合は、覆っている本殿の規模が段違いに大きいですし、祭神が尊いことを演出するためのものだと思うのですが。

御神座の屋根は、本殿の屋根と同じ向きに傾斜がついています。南北の中央が高くて、東西に向かって低くなってる、ということです。
しかし、祭神は西を向いている。御神座の扉は西についているんです。
出雲大社本殿は、神社建築様式のひとつ「大社造」の代表として知られ、この様式の特徴に入り口の位置が「妻入り」であることが挙げられると思います。屋根の傾斜の無いほうに、入り口があるのが普通ということです。
しかるに、内部の御神座は、実は傾斜のあるほうに入り口がある「平入り」になっています。
国津神の代表的な神として有名な大国主神。意外にも大社内部では「神明造」的な神座で祀られているのでした。

上段の西側には、客座五神(天之常立神、宇摩志阿斯訶備比古遅神、神産巣日神、高御産巣日神、天之御中主神)が祀られます。
こちらは何というか…よく、一般的な神社の境内の摂末社で、長屋型の社殿を見かけることがありませんか。長屋型っつーのも失礼ですが。一つの長い社殿に、扉がいくつもついているアレです。
アレにちょっと似てます。
ただ、壁にぴったりとくっつけているので、奥(壁)側には屋根はありません。屋根の傾斜があるのは、手前側だけです。

さらに天井に目を向けると、「八雲之図」を見ることが出来ます。
聞いていたとおり、八つではなく、七つの雲しかありませんでした。解説の神職のかたによると、八つ描いて「完成」させることは、「終わる」ことにもつながり、あえて神徳が永遠に続くようにと一つ少なく描かれたんじゃないか、という説があるようです。
最後の一つは、ひとりひとりの心の中にあります、なんて言われたらどうしようかと思ってましたよ(笑)
江戸中期の1744年に、現在の本殿は造営されたんでしたか。そのときから変わらない色彩なんだろうと思わせる、鮮やかな色で感激。
下図のように(またヘタクソですみません)、主祭神の御神座の上の部分だけには、雲は描かれていません。
また、仕切り板壁に近いところの雲だけは、西に向かって流れている様子で描かれています。他の六つの雲はみんな東に流れているのに…

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八雲之図もそうなんですが、神殿内部の美しさに驚かされました。外部の風雨にさらされて傷んだ状態と比べると特に。
壁の板も、心の御柱も、つい最近に建てられたかのように木の色や木目が奇麗なんです。
いつも、大切に守られているんだなぁ、と感じました。

満足しながら八足門の外へ出て、そうそう素鵞社で素盞鳴命にも参らなきゃねー♪と思って、さっき並んだ列の横を通り過ぎようとしたところ…
外人男性が拝観を断られてました。ジーンズ不可って情報を事前に知らなかったんですね…遠くから来たんなら気の毒ですが、仕方が無いです。

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こうやって、人が比較対象としているところを見ると、やっぱり大きい社殿だなーと思います…
白テントの記帳所では、「御本殿特別拝観之証」と「特別拝観のしおり」をもらえました。いい記念品になります。


初出:「ついに出雲大社本殿」『天の神庫も樹梯のままに。』http://blog.livedoor.jp/kusitama/archives/51405934.html 2008年05月02日