山梨県甲府市酒折に鎮座する神社、酒折宮です。
参拝は2005年の夏だったと思います。買い換え前のデジカメで撮った画像なので…
ネタ切れしたら使おうと放置していたのが、ついに順番が巡ってきました。

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JR中央本線の酒折駅から徒歩だと近いです。
私はマイカーだったんですが、上の写真のとおり、一台分の幅の道が参道で、国道411号線(城東通り)からの入り口がわかりづらく、一端通りすぎてから、戻ってたどり着きました。

ヤマトタケル尊の東征伝承に登場することで有名。祭神ももちろん日本武尊です。
尊が
「新治 筑波を過ぎて 幾夜か寝つる」
という問いかけの歌を詠んだものの、側近のものは誰も答えることができず、ただ御火焼老人(書紀では秉燭者)だけが、
「日日並べて 夜には九夜 日には十日を」
と返したとされ、連歌発祥の地ともいわれます。

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この御火焼老人について、静岡大学名誉教授の原秀三郎氏がユニークな解釈をされています。
物部氏の人物なのではないか、という説です。
書紀では大伴氏の祖、武日に靫部を賜ったことも見え、ここで行われていたのが東征における論功行賞と見られること、古事記に御火焼老人が任じられたとある「東国造」は東国全域を統括する重要ポストであり、通説のように身分の低い者が任じられるには不自然であることなどを述べられています。
詳しくは原先生の著書、『地域と王権の古代史学』に載っています。

地域と王権の古代史学
原 秀三郎
塙書房
2002-08-24


「老人」の表現が、殿様の側近に仕える守役や家老で使われる「じい」と同じようなものなのではないか、という見方が面白いです。

山梨県甲府市下曽根町の銚子塚古墳も、この御火焼老人(物部じい)に関係するとされていたので、立ち寄ってみたかったのですが、時間的に足りなくて行けませんでした。

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本殿を撮ろう…と思ったんですが、木に覆われていて全然撮れてませんね。

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背後の丘にある「シャトー酒折ワイナリー」のエントランスには、ヤマトタケルと御火焼老人のステンドグラスがあるそうです。


初出:「酒折宮」『天の神庫も樹梯のままに。』http://blog.livedoor.jp/kusitama/archives/51829241.html 2010年06月09日