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2007年3月3日は、行田市の県立さきたま史跡の博物館での講演を聴きに行ったのです。この博物館では吉見百穴をテーマにした特別展が開催中で、それも見がてら…といった感じで。
講師の金井塚良一氏は、『吉見百穴横穴墓群の研究』という著書で知られる、関東の横穴墓研究の第一人者だそうで、埼玉県立博物館の館長も務めたことがある方。

お話の結論的には、やはり渡来系の人々が吉見百穴を築いたのだろうと。
胴張のある石室の古墳や、横穴墓における、埼玉県内の例や茨城県の例を示して、推古朝に朝廷の東国政策の一環として渡来系氏族が送り込まれ、墓制に変化が起こったと見ることが出来るといわれてました。
特に、吉見百穴のある比企郡に隣接する男衾郡に勢力を持った壬生吉志に注目しているようでした。

そんな話を聞いたり、特別展に並んでいる関東各地の横穴墓出土の遺物を見ているうちに、現地に行って見たくなったわけです。

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入場料300円の価値はじゅうぶんあります。
天気がよかったためか、かなり賑わっていました。広めの駐車場も完備されてるし、いい場所だ~というのが感想です。
「仮面ライダー」や実写版「セーラームーン」のロケ地にもなったそうですね。

第二次大戦中の地下軍事工場の跡というのもあって、内部はヒンヤリ涼しいです。200メートル×100メートルくらいの範囲に縦横に掘り込まれた洞窟です。
古代と近代の遺産を同時に見ることができます。というか、戦争のための工場を作るために、潰された横穴墓もあったんだろうと思うと、ちょっと残念です。
減ったといっても219基もの横穴墓が確認されているそうで、間近で見ると圧倒されます。

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これにはじめて調査の手がつけられた明治のころには、墓か住居かを巡って論争もあったらしいです。
土蜘蛛人の住居? 神武即位前紀あたりに出てくるのをイメージしたんでしょうか。
上の写真に、棺座(遺体の入った棺を載せる台)の写ってるものもありますが、たしかにベッドに見えないこともないような…これに須恵器とかの土器も出てきたら、飲み食いして眠って生活していると思っちゃうよなぁ。

初出:「吉見百穴」『天の神庫も樹梯のままに。』http://blog.livedoor.jp/kusitama/archives/50921812.html 2007年03月04日